名所･名勝･旧跡･社寺など有名なところになると､テレビや雑誌･映画など､多くの場で その姿が紹介される。足を踏み入れたことがない地域のそれは､なんらかのメディアで紹介された姿を記憶しているのだろう。
生活の場の近くであったり､訪ねてはいる地域の名所･名勝･旧跡･社寺となると､知識としての映像か､体感した映像かが､いささか怪しくなる。

今回､奥琵琶湖への行程に寄り道する形で「浮御堂」を加えたのは､怪しさを確認してみようと思った。もし行っているとしたら､高校生か大学生の頃だろうと思う。
小さな山門を入った。記憶がない。満月寺というんだそうだ。記憶がない。浮御堂へと進む。意外に「湖水に近い！｣。来ていない ･･･ 脳裏にあった浮御堂は､雑誌の写真か､テレビの映像だったようだ。

鎖（じょう）あけて 月さし入れよ 浮御堂（芭蕉）元禄四年の仲秋名月の翌日､十六夜に月見の宴で詠まれた句とか。昼間だったし､夏だったし､湿気の多い曇り。句の世界とは､あまりにも かけ離れていた。湖面は､ゴミで汚れていた。